
時を刻む芸術品。セイコー・シャリオ 2628-5040 オクタゴンモデルが放つ至高の気品
「腕時計は、その人の知性を映し出す鏡である。」 かつて誰かが言ったその言葉を、この時計を見るたびに思い出します。
今回ご紹介するのは、1980年代に製造されたSEIKO(セイコー) 2628-5040。 数あるヴィンテージ・セイコーの中でも、ひときわエレガントな「八角形(オクタゴン)」のケースと、クラシックの極致である「スモールセコンド」を搭載した逸品です。
現代のデカ厚時計にはない、繊細かつ力強い美しさを徹底解説します。
1. 「八角形」という選択。ドレスウォッチの新境地
まず目を引くのは、この美しいオクタゴン(八角形)ケースです。
時計の世界において、八角形は特別な意味を持ちます。オーデマ・ピゲのロイヤルオークに代表されるように、それは「力強さ」と「エレガンス」の融合を象徴する形。 しかし、このセイコー・シャリオが提示するのは、スポーツウォッチの力強さではなく、貴族的な静寂です。
- ステップドベゼル: ケースの縁が段差(ステップ)になっており、ゴールドの輝きに立体感を与えています。
- ラグの造形: ワイヤーラグを彷彿とさせる繊細な足の形が、ブラウンのレザーストラップと見事に調和しています。

2. 文字盤に宿る「クラシシズム」
この時計の文字盤には、100年経っても色褪せないであろうデザインの方程式が詰め込まれています。
■ ローマ数字と線路型目盛り(レイルウェイ)
文字盤を彩る黒のローマ数字。そして、その内側に描かれた八角形のレイルウェイ・ミニッツトラック。この構成が、時計全体にギュッと引き締まった「密度感」を与えています。
■ 6時位置の「スモールセコンド」
このモデルの最大のハイライトは、独立した秒針である「スモールセコンド」です。 多くのクォーツ時計が中央から長い秒針を動かす中、あえて6時位置に小さな秒針を配置することで、**「懐中時計の時代から続く伝統」**を表現しています。この「チクタク」と控えめに動く秒針を眺めているだけで、時間がゆっくりと流れるような錯覚に陥ります。
■ 絶妙な「SEIKO QUARTZ」のロゴ
12時位置に配されたロゴ。当時は「クォーツ」であることが最先端のステータスでした。今となってはヴィンテージの証であるこのロゴが、一周回って非常にモダンに映ります。
3. 「2628」ムーブメントの信頼性
外見だけでなく、中身も一級品です。搭載されている「Cal.2628」は、セイコーがクォーツ技術を極めていった80年代の傑作ムーブメントの一つ。
- 薄型設計: このエレガントなケース厚を実現するための超薄型構造。
- 高精度: 40年以上経った今でも、電池を変えれば現役で正確に時を刻みます。
- 希少性: 近年、ジョブズモデル(丸型)の再評価により、同じムーブメントを持つこのオクタゴンモデルも、急速に市場から姿を消しつつあります。

4. コーディネート:大人の余裕を演出する
この時計をどう着こなすべきか。それは、**「あえて引き算をする」**ことです。
- ビジネスシーンで: 白シャツの袖口からチラリと覗くゴールドのオクタゴン。それは、相手に「この人は細部にまでこだわりがある」という印象を静かに与えます。
- 休日のジャケットスタイルで: ブラウンの革ベルトを靴やベルトの色と合わせれば、品格のある大人のカジュアルが完成します。
30代、40代、そしてその先の世代へ。 流行に左右されず、自分の価値観でモノを選べる人にこそ、この2628-5040は似合います。
5. ヴィンテージ・セイコーを所有するということ
今の時計にはない「質感」がここにはあります。 ご提示いただいた個体のように、丁寧に使い込まれた跡(エイジング)があるものは、前のオーナーが歩んできた時間を想像させてくれます。
風防(ガラス)に映り込む景色、ゴールドケースが放つ柔らかな光。 これらは、デジタルの画面では決して味わえない、**「物質としての豊かさ」**です。
結び:手元にあるのは、40年前の「未来」
1980年代、世界を席巻したセイコーのクォーツ。 この2628-5040は、当時の技術者が「最高のドレスウォッチを作ろう」と情熱を傾けた結晶です。
もしあなたが今、この時計を手にしているのなら、それは単なる中古品を手に入れたのではありません。**日本の時計産業が世界一を証明した時代の「誇り」**を受け継いだのです。
これからも大切に、このスモールセコンドと共に時を刻んでいってください。
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